♪けんかをやめて 二人をとめて わたしのために争わないで もうこれ以上♪
二股をかけて男を争わせた身勝手な女の歌だと思ったものです。
昼前、通りすがりのホームセンターで台所洗剤とキャットフードと歯磨き粉を買いました。
会計のためレジ並ぶと、店に20代前半の若い男がつかつかと入ってきました。
「なに?なに?ねえ、ちょっと!なに?」
レジのおねえさんが突然慌てだし、私の会計など放り出してその男を追いかけてレジカウンターから出て行ってしまいました。
こちらのほうが”なに?どうしたの?”です。
男は店の中で商品を並べていた若い店長らしき男性を見つけると、「てめえか!俺の女に手を出しやがったのはぁ!」と詰め寄り、狼狽して棒立ちの店長の胸ぐらをつかむと、「おらぁ、何とか行ってみろ!人の女に手を出しやがってぇ!」
「て、手を出したなんて…メールを出しただけです…」
「お願いやめてぇ、みんなが見ているじゃない!」
「うるせぇ!てめぇは引っ込んでろ!。」
なんだかよくわからないけれど、事情は良く飲み込めたようなココロ。
バコ!(殴る音)。ガシャ!(商品棚の商品が崩れる音)。イヤァ!(レジのおねえさんが泣き叫ぶ声)。×××(お下品な言葉)。キャ!(レジのおねえさんが弾き飛ばされる声)
深い事情は良くわからないけれど、簡単に深い事情と、深い関係は理解できます。カレシと間男の熱い戦い。と言っても、間男が一方的にやられていましたが…。
「こりゃぁ修羅場だわな。今時珍しいわな。」と私の後ろで完熟堆肥の袋を持って並んでいたおじさんがつぶやく。
「生命力ですね。熱いですね。日本の若者にも熱い男がいたんですね。これで日本の将来も安泰だ。」と、私もつぶやく。
強くなければ男ではないロシアだったらよくありがちなプリミティブな光景ですが、おとなしい日本ではしらふでこんなけんかは珍しい光景。
否、メスを巡ってオスが争う、これぞ生命の基本!そして、強い遺伝子が受け継がれる。ワイルドだなあ。
騒ぎを聞きつけて、外の園芸コーナーで鉢植えに水を撒いていたおばさんが如雨露を持ったまま店内に入ってきて、急遽レジカウンターに入りましたが、「どうすればいいの?どうすればいいの?」と慌ててしまい、何も手につきません。
そのうち修羅場の三人は店の奥の事務所に入ってしまい、戦後保障の講和条約締結かな?
「第1R終了かな?これからが大変だぞ?こんなの見られるならかあちゃん連れて来ればよかったな。」と堆肥袋のおじさんが無責任につぶやく。”同感です。まったく同感です。”と無責任に私も同意する。
レジのオバサンはバーコードのスティックを手に持ったままおろおろしている。
やっとこ会計が終わり「間違えていないか確認してもらえますか?」と言われ”油汚れにジョイとフリスキーとデンターライオンね。あっています。”と店を出ました。

野次馬なんてとんでもない。ちょっと心配になったので、老婆心ながら午後もう一度ホームセンターをのぞいてみました。
おねえさんの姿は見えませんでしたが、店長らしき青年は絆創膏とマスクをして在庫のチェックをしていました。