登山の先輩宅を訪ねたら燻製を作っている最中でした。
ドラム缶で作った大規模な設備で岩魚の燻製を作っていたようです。
十数年ほど前になりますが、仲間内で燻製作りが流行った事があり、その頃はホームセンターに燻製を作る道具などが既に売られていましたが、全て「手作り」が大儀で、道具を買って使うことは「無粋」とされていました。
私は一斗缶を切って燻煙の道具を作り、近所の林業の業者に桜の切れ端をもらってきて燻煙チップにしました。

食材を燻煙する前にソミュール液という液に漬けるのですが、要するに塩水。これに香りをつけるためにハーブを使うので、ハーブ類を植え始めたら雑草化して家の周りがハーブだらけになりました。
いろいろな食材を燻製にして試してみましたが、お気に入りはゆで卵やかまぼこ。市販されているウィンナーソーセージなども燻製すると味わいが増しました。
キャベツの心も塩漬けにしてから燻製にすると美味なんですが、「そんなものまで燻製にするなよ」と誰も後に続いてくれませんでした。面白いものですから何でもかんでも燻製にしてみましたが、失敗作も多々ありました。

ロシアに行くようになって一歩も二歩も先を行く燻製文化に触れることができましたが、街中で売られている燻製製品も多様でした。塩味がきつい感がしますが、これも「保存食」のため。
紅鮭の燻製など刺身で食べるより味わいがあると思いましたし、圧巻はハム類。日本で言うサラミソーセージの巨大なものが多種多様に店に並んでいました。燻製ハム作りにも挑戦してみましたが、一斗缶では小さすぎるのか、私が作ったハムが大きすぎたのか、上手く作れませんした。
個人的にはセリョートカ(ニシン)の燻製がお気に入りで、友人の自家製の燻製を土産にもらってきたのですが、空港の検疫で没収されたこともありました。

夜、その燻製の友人宅に電話をして、ロシアの経済状態についての話題になりました。今年の1月12日に輸入関税があがったことで急激に落ち込んだ日本からの中古車ですが、今まで港のヤードに通関待ちの自動車が並びきれないほど置かれていたものが、今はこうした自動車もほとんどなく閑散としているようです。
昨年輸入された中古車もまだ大量に売れ残っているようで、こうした在庫がなくなり、新しい関税に慣れるまでもう少し時間がかかるだろう。早くても夏ごろ遅ければ来年ごろには動き出すだろうと言っていました。
お互い快く思っていない、ニューリッチと呼ばれる成金の知人がいましたが、「今大変だと思いますよ。彼は投機に熱を上げていたから、大損したでしょうね。最近は噂も耳にしません。」とのこと。本業そっちのけでバブルに酔いしれていたのですから、当然の報いという評価です。
ロシアからドイツに自動車で踏破する友人がいるので、手を貸してくれるようお願いしたら、最近、日本からポルトガルまでオートバイで横断する日本女性の手伝いをしたそうです。「日本女性はおとなしいけれど、ものすごい行動力があると思います。ロシア女性は威張るけれど、威張るだけで心が強くない。」と感心していました。
妙に主張が強い人ほど脆く弱いものですが、考えてみればこういうタイプは燻製にも向いていません。