東京を抜いてモスクワが世界一物価の高い都市になりましたが、モスクワよりもさらに物価が高いと言われているウラジオストク。
幸いなことに食料品は日本ほど高額ではありませんが、原油高による輸送コストの高騰などで食料品にもその影響がでているようです。
毎日の生活に欠かせないパンの価格にも影響が出ておりますが、「どこの家庭でもダーチャでジャガイモをたくさん作っていますから影響はありません。」
パンを製造販売している店先の値段。今年の春先のものです。今は3割程度高くなっているようです。

ジャガイモと言えばライ麦のパンと並んでロシアの食卓の中心ですが、ジャガイモがロシアの人々の食生活に定着してはまだ100年程度の歴史しかありません。
ジャガイモは元々南アメリカ大陸原産で16世紀にヨーロッパにもたらされ、普及するまでも様々なドラマがあり、ドイツでは国が強制的にジャガイモつくりを農民に押し付け、フランスでは王侯貴族がジャガイモの花を愛でることにして庶民にジャガイモつくりを普及させ、英国ではジャガイモの芽を王室に食べさせたために毒素のソラニンに中って大騒ぎになったためにジャガイモの普及が遅れた歴史があります。
寒冷なヨーロッパで、寒冷地に強いジャガイモの普及は大きな役割を担っていましたし、もしジャガイモが普及しなかったらヨーロッパ諸国の人口は増えず、植民地も必要なかったのではなかろうかと言う意見もあります。
日本にはインドネシア経由では行ってきたのでジャガタライモ。ジャガタラはジャカルタですね。

新しいことに否定的な保守的意見は当然あるもので、ジャガイモ普及の足を引っ張ったのが「悪魔のりんご」と呼んだキリスト教の古いい一派だったそうです。
ロシア語でジャガイモは「カルトフェーリ」と呼びますが、ドイツ語では「カルトッフェル」。ドイツから入り込んできたことがわかります。
ロシアにも16世紀から17世紀にジャガイモがもたらされていたようですが、普及はしませんでした。
帝政ロシアの皇帝が国有の耕作地に一定の割合でジャガイモを作付けするように詔を発したのが1840年。
これに対して農民達の暴動が起きています。日ごろから皇帝に対する不満が背景にあったことが一番の要因でしょうが、政府が庶民の日常的な食生活に対して干渉したことへの反発や、ジャガイモは悪魔の食べ物と言う迷信もあり、「皇帝は我々にジャガイモを食わせて殺す気だ!」と不平が爆発しました。
いまやロシアの伝統的な主食のごとく鎮座するジャガイモですが、100年も遡れば、食生活を変えることに激しい抵抗がありました。

主食と言う考え方は実に意味が深いもので、日本の「米」ように食事の中で半分以上を占めるほど多きなウェイトを占めている食材もすくないと思います。
ロシアではジャガイモやライ麦パンが主食と言っても、その他の食料も同じくらいのウェイトで食べています。
元々米は暖かい土地で作られる作物ですから、寒冷なロシアで馴染みが薄いこともありますが、ロシアで米といえば田んぼで作る水稲ではなく、畑で作る陸稲が主流でした。しかもウクライナなど南の国で作られています。
ウラジオストクには中国から水稲が入ってきますが、米を「炊く」習慣がないので、食べ方も異なります。
米は味がないという思い込みもあり、日本式の米の食べ方に馴染むまでは時間がかかります。
米生産者の末席を汚すものとして「米は味がない」と言われると歯がゆいことこの上ありませんが、食生活を帰ることは時間と根気が欠かせません。

ロシアの黒いライ麦パンも、いきなり食べると味がないばかりか、硬くて食べられたものではありませんが、だんだんとそのおいしさがわかるようになってきました。
なるほど、簡単に米の微妙な味がわからないのも道理だと思いましたし、多様な人々が集まった歴史の浅いUSAなど、味付けが大味になるものわかる思いです。
日に日に寒くなっていますが、まだ彼岸花が残っていました。例年なら9月中に花は枯れているはずです。

山栗が熟して実が落ち始めました。最近、我が家の界隈にも熊が出没しています。明け方、近所の犬が妙におびえたような吠え方をするので、こういうときはクマが栗や胡桃の実を食べに来ているのでしょう。